こんにちは。音楽が好きで好きでたまらない杉山です。
昨今、Webを活用したプロモーション活動を行うミュージシャンの数も増えてきています。
それ自体は珍しくなく、昔からよくある手法として対象商品購入でダウンロード限定楽曲を配信する、というものなどがあったと思います。
しかし、その頃と比べ現在ではWeb技術も向上し、よりユニークなWebの活用方法によって話題性を集めたプロモーション活動がいくつもあります。
今回のコラムでは、そんなプロモーション活動の中でも個人的にとりわけ面白いと思った事例を紹介させて頂きます。
一つのデータを「回し聴き」。楽曲「Pass it on(次に回して)」のプロモーション
一つ目にご紹介するのはスウェーデン人ラッパーの「Adam Tensta」によるプロモーション。
2012年に発表された新曲[Pass it on」は、なんと楽曲データが世界に一つしか存在しないのです。
つまり、どれだけiTunesで検索しても、はたまたCDショップやレコードショップで探してみても決して手に入らないということですね…。
「じゃあどうしたら聴けるんだ!」ということなんですが、この曲を聴くためにはAdamさんのfacebookページにあるアプリをインストールする必要があります。
そして、インストールし終えた後は、曲を聴く順番が回ってくるのを待つことになります。
どういうことかと言いますと、先ほども挙げましたがこの楽曲は世界にたった一つしかデータがないので、皆で「回し聴き」をする必要があるのです。
ですので、順番が回ってきた人には「一時間限定」でその曲を聴く権利が与えられ、聞き終えた後は同じように順番待ちをしている別の人に曲を聴く権利を回してあげるのです。
オープンに誰でも聴けるようにするのではなく、敢えて規制を掛けることでもっと聴きたくなる…
そんな心理を上手く形に落とし込んだ、まさに発想の勝利と言えるプロモーションですね。
なお、残念ながら現在ではこのアプリをインストールすることはできません。
恥も外聞もかなぐり捨てた、渾身の酔っ払いパフォーマンス
二つ目にご紹介するのは、ベルギー・ブリュッセル出身のアーティスト「Stromae」の楽曲「Formidable」におけるプロモーションです。
彼はこの楽曲を広めるにあたり、とても奇抜な方法を取りました。
どのようなものかと言うと、ブリュッセルの繁華街でStromae自身が失恋した酔っ払いに扮し、あたかも本当に打ちひしがれているかのようにこの楽曲を歌い上げるというものです。
現場を目撃した人々は盛んにこの情報をツイッターにアップし、新聞にも取り上げられるほど大きな話題となりました。
後日、youtubeにネタばらしの動画がアップされ、無事に誤解は解けたそうです。
このプロモーション活動において、特別な、あるいは斬新なWebの技術というのは全く使われておりません。
ですので、今回のコラムのテーマとは少し外れた内容に思えるかもしれません。
ですが、ツイッターにおける爆発的な情報の拡散を視野に入れたプロモーションという見方では、一種のWebの活用と言って良いと思います。
そういったプロモーション活動も珍しくは無いとも思いますが、これほどユニークなやり方は今まで見たことが無く、あまりに面白かったのでご紹介させていただきました。
ライブをやるもやらないも、行く末は全てファン次第
最後は、日本のミュージシャン「平沢 進」によるとびきりユニークなプロモーションをご紹介致します。
彼は2015年11月にライブを行うにあたり、なんと実際にライブを行うかどうか、ライブの質をどれ程のものにするかを一種のゲームという形でファンの手に託したのです。
具体的な内容は、特設サイトに提示された謎解きをファン同士が力を合わせて解いていき、その進捗によってライブの行く末を決定するというものです。
謎解きの内容も面白く、サイトに提示される「日本のどこかの場所を映した映像」を基にその場所を特定し、実際に足を運んで特定の行動を取る、というものとなっています。
平沢さんは、昔からこうしたWebを活用したインタラクティブな活動を積極的に行っており、そのどれもが先進的かつ魅力的なものばかりです。
もしも興味が沸いた方は、特設サイト「過去向く士・ψヶ原の策謀」に詳しい内容が書いてありますので、是非ご一読下さい。
ただし、当然のことながらこのキャンペーンは既に終了していますが…。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、私が知っている事例の中から特に面白いと感じたものを3つご紹介させていただきました。
世の中にはまだまだたくさんの面白いプロモーション活動があります。
ご興味お持ちいただけましたら、是非色々と探してみる事を強くお勧めします。