皆さん、HRテックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
最近、よくメディアで○○テックという言葉を見聞きするようになりました。有名なところではFinance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)の造語であるFinTech(フィンテック)がありますね。
HRテックとはHR(ヒューマンリソース)とTechnology(テクノロジー)からきているもので、最新のテクノロジーを使って人事関連の業務を効率化していくことを指します。
会社によっては「人事総務」として、ひとつの部署で総務の業務領域も兼ねているところもありますので、広義な意味では総務の業務効率化を含んでも間違いではないでしょう。
このHRテックですが、昨今急激に注目されるようになってきました。その背景やどのようなところでHRテックを活用することができるのか、また、HRテックの導入効果が出やすい分野はどういったところなのか、などを見ていきたいと思います。
どこもかしこも人材不足
経済産業省によると、当社が属するIT業界では人材の需給バランスはが既に崩れていて、2030年には最大で約79万人が不足するといわれています。
日本では働き方改革が進むと同時に、少子高齢化による現役世代の人口減はあらゆる業界で人手不足を発生させ、今後も加速していくことが確実になっています。
ただでさえ人手が足りない中、それでも企業は業績を上げていかなければならない。なかなかかじ取りが難しい時代に突入したと言えそうです。
人手不足による影響は人事総務部門でも例外ではありません。限られた人材で高いパフォーマンスを出していくためにはどうしたら良いのでしょうか?
「定型業務やルーチン業務は機械化して、創意工夫が必要な”頭を使う業務”を人が行うことにしよう!」と分かっていながらも、どこから手をつけたら良いのか分からないというのが実情なのかもしれません。
HRテックをうまく活用すれば、全てではないにせよ業務の大半はテクノロジーが代行し、皆さんは最後の判断だけを下すという効率化を図れる分野があるはずです。
どこから手をつけていけば良いのか
HR Techナビが提供する「HR Tech業界カオスマップ」では、2019年10月15日時点で、何と9カテゴリー449ものサービスが存在するそうです。ますます混乱してしまいますね・・・。
ひとつのアプローチ法として、人事総務部が担う業務課題を挙げていき、その中から着手すべく分野を絞り込んでいってみましょう。
例えば、人事総務部が担う業務には次のようなものがあります。
・採用活動
・人事異動、昇進昇級
・人材育成、研修
・人事考課
・健康管理、メンタルヘルスケア
・社内外への情報共有、告知
・社内ヘルプデスク
・コンプライアンス、ISO等を含む法規法令
・退職
取り組み効果が分かりやすいのは、「定型業務をHRテックで人作業からロボット化させる」というところです。
人が行っていた作業をロボットが代行してくれるのですから、人件費の削減や間違いのないアウトプットという品質向上が期待できそうです。
例えば、外販する営業マンに対して配布する外販リストを毎日作成する業務があったとしましょう。外販リストは過去の取引履歴や成約率、前回訪問日などを参考に抽出するものとします。
このような業務、言い換えるのであればパソコンのみで処理できる業務は全てRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)というテクノロジーによって自動化することができます。
配布するリストを紙で出力するのではなく、営業マンのスマホに送信することで、ささやかではありますが経費の削減も同時にかなえることができそうです。
最近では採用活動にもAIテクノロジーを使った動きが始まりました。応募時のエントリーシートをAIが一次判断し、二次面接へ進むべきか否かなどをAIが決めたりしています。
AIが行う判断は客観的で公平性が保たれるため人が行うより間違いが少ないという意見がある半面で、その決定プロセスが不透明だとも言われています。
人生を左右しかねない採用の場面において、その決定にAIが使われていたと聞いたとしたら、ちょっと複雑な感じがしますよね。
要は、どのような分野がHRテックの導入効果が得られやすいのか
人事総務部門の業務全般において、その導入効果がありそうなHRテックですが、効果が上がりやすい分野とそうでもない分野がありそうです。ここでは、効果が上がりやすい分野について触れていくことにしましょう。
◇定型業務のテック化
上記でも説明したように、定型業務やルーチン業務は即テック化できる分野です。
入力するデータや参照するデータが日々異なるという場合でも、その業務フローが一定であればテック化は容易にできます。
夜中私たちが寝ている間にロボットが業務を代行してくれて、朝出社した時には出来上がっている、なんて素敵ではないでしょうか。
◇コミュニケーションのテック化
既に皆さんの会社でも使っているであろうビジネスチャットやテレビ会議。実はこれらもHRテックに入るのです。使い始めると認識の共有や統一も簡易にはかれて便利ですよね。
電話のように相手の作業をブレイクさせるわけでもなく、メールのように返信まで時間を要するというわけでもありません。
「それってLINEの企業版じゃないの?」とおっしゃる方いらっしゃいましたが、ビジネスチャットはセキュリティ面の強化や他のアプリケーションとの連携なども備わっていますので、まだ導入されていない方にはオススメです。
マネジメントでの活用や、人事考課や人材配置の最適化での活用なども行われています。
まずは効果の出やすい分野からはじめてはいかがでしょうか。