「既存顧客を育成し、売上やお問合せに繋げたい」をテーマにお送りする連載コラム。
「1度だけ客」を「リピーター」に育て上げるにはどうするか。
MA(マーケティングオートメーション)ツールについて説明していきます。
マーケティングオートメーションで鍵となるシナリオ設定
前回までにMA(マーケティングオートメーション)ツールについての概要と、初期設定の重要性、ゴール設定、顧客セグメントについてご説明しました。
今回はMAツールの中で最も重要な要素の一つシナリオ設定についてご説明していきます。
まず、シナリオとはなんなのか…
簡単に言えば、顧客セグメント毎の目標達成チャートと言うとわかりやすいでしょうか。
顧客セグメント毎に用意する一連のアクションと、それに対する顧客のレスポンスで条件分岐させ、顧客毎の細かな対応を行う事が出来ます。
実際にどういう形で用いるのか、オラクル社のMAツールであるEloquaでの事例をご覧頂きながらご説明します。
休眠顧客を掘り起こすためのシナリオ
御社サービスを以前に利用した事があり、一定期間アクションの無い休眠顧客を再度アクティブな状態にしたい…と言うのは各企業共通の命題だと思います。
その休眠顧客を掘り起こすためのシナリオを設定してみましょう。
MAツールに蓄積された顧客情報の中から、化粧水を買ってくれた顧客で、その後2ヶ月以上アクション(購入、Webへのアクセス、メルマガの開封)の無い顧客を抽出します。
その顧客群に対し、以前購入された化粧水が更にグレードアップして販売開始し、期間限定20%OFFのお得なキャンペーンを開催していることをメールで告知します。
メールを受け取った顧客の反応は、以下の4通りに分かれるはずです。
1.開封すらしてくれない顧客
2.メールを開封してくれた顧客
3.開封した上でWebにアクセスしてくれた顧客
4.Webからの購入にいたる顧客
3と4については掘り起こしができていると判断し、別で設定されているリピート促進シナリオの方へ転送。
開封すらしてくれない1とWebアクセスの無い2に対しては、追加のアクションが必要です。
2の開封はしたが、Webアクセスはしなかった顧客は、メールの内容に興味を示さなかったと考えられますので、化粧水とは別のアイテムを紹介するメールを、配信するように設定します。そこで反応があれば、リピート促進シナリオへ。
反応が無ければ更に別アイテムのメールを配信する。
開封すらしてくれなかった1の顧客に対しては、メールの配信タイミングが悪く見逃しているのかも知れません。
一定期間経過の後、配信時間を変えて同じメールを配信する設定をします。
未開封顧客には3度目まで同じメールを送るようにし、それでも反応が無ければ諦めます。
この様にして想定される顧客の行動で条件分岐させ、それぞれに対するアクションを設定しておくことで、自動的に休眠顧客を掘り起こすというわけです。
メールだけでは無いシナリオ設定
メール配信のシナリオはおわかり頂けたかと思いますが、MAツールはメールだけで無くWebの内容も顧客毎に出し分ける事が可能です。
一度化粧水を買った顧客がWebにアクセスした際には、その化粧水と一緒に使うと効果の高い乳液をメインビジュアルに表示させ、ユーザーに訴求すると言う事も可能です。
各顧客に合わせてWebサイトがその顧客専用の内容に書き換わるので、まさに顧客毎のOne to Oneマーケティングが実現します。
さらにはDSP広告もコントロールできますので、顧客が他のサイトを見ているときにも、狙い撃ちで広告を表示することができます。
このどこまでも追いかけていく感じ、ちょっと怖くもありますが、効果を上げられることには間違いありません。
御社でもMAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。