業務とは何でしょうか。この定義が曖昧だとRPAに載せて自動化する時に、
思ったよりも効果が出ない結果になります。
現在ある業務の何をRPAに移行し人間は何をするのか、
新しい業務に当初からRPAを想定すべきか、など管理職だけでなく
現場で多くの業務を抱えている人が考えなければならないことです。
ここでは、RPAの業務範囲と対象業務をマネジメントの観点から整理し適応技術の対象例を解説します。
BPOの見直し〜業務範囲の整理
仕事はいろいろな業務の集合体として成り立っています。
仕事、業務、作業を区別し適切なツールの選択がRPAの導入の早道です。
仕事>業務>作業
です。
英語での意味は次のような単語が当てはまるでしょう。
【仕事】business,work
不可算名詞【業務】job, task
可算名詞【作業】operation, job
可算名詞
*operationには運転や運営の意味もあるので、この場合は不可算名詞となる。
注意しなければならないのは、数えられるものは分割できるのでアウトソース(ロボットでも人間でも)できます。
分割できないものはRPAには無理でAIでも「弱いAI」ではできません。
より人間に近い「強いAI」で少しできるようになってきました。
クルマの運転はoperationが含まれますので、自動運転がレベルに応じて可能になってきたわけです。
大きな企業や官公庁でもBPO(Business Process Outsourcing)は相当進んできました。
BPOを可能にするためには自社・自組織の業務プロセスの分析が完了し
「何を」「どれくらい」「だれに」「いつまでに」業務をしてもらえばよいかが明確になっています。
このプロセスの分析はRPAも同様です。
高額な委託費用を支払ってアウトソーシングしていたことは、ほとんどロボットへ移行できます。
業務委託先からは必ず「請求書」がきます。
これは取りも直さず業務の完了報告書ですから、結果が明確になっています。
RPAのジョブもレポーティングされますので全く同じです。
RPAへの着手はなるべく身近なところから
RPA導入の着眼点は次にあげる業務例のようにジョブやタスクが明確なものです。
1.経理
1.1.売掛・入金
1.2.買掛・支払
1.3.資産管理
1.4.経費精算
2.人事・総務
2.1.残業管理
2.2.人事考課
2.3.経営レポート
3.営業
3.1.売上状況
3.2.見積作成
3.3.受注業務
4.購買・倉庫
4.1.発注
4.2.出荷
4.3.検収
4.4.在庫管理
企業や組織によって分類法や業務範疇のちがいはあるかもしれませんが大まかにはこのようなものです。
これらの業務は全て定型化されておりマニュアルが存在します。
もし、どれかひとつでもマニュアル化されていないもの(属人化)があれば、RPA導入の前に見直しと改革を図る対象です。
RPAの先にAIがある
当然、今までのRPAに移行できない業務や未整理の内容、
市場との関係で変動させなければならない要素のものもあります。
購買業務の発注作業など、コンビニの商品棚で発注点を設けて行う自動発注などはロボット化できます。
けれども「おでん」や「ビール」のように気温に密接に関連して
発注数量を決めなければならないものはAIでないと行えません。
経営レポートなども、「過去」のデータの集計と統計作業による「見える化」まではできても
「未来」の予測と経営層への選択肢の提示などは「強いAI」かコンサルタントや上級管理職でなければできません。
RPA導入をよく「作業量」の多いものから、はじめようとする傾向がありますが注意が必要です。
例えば繁盛しているレストランの接客量は当然、増えます。
だからと言ってこれをロボット化することは困難です。
注目すべき点は「作業の質」です。
一日の量が少ないものでも必ず発生し毎日必要な作業がないかを洗い出すことです。
これがRPA化すべき対象作業です。
そのような作業が10も20もあれば総量としては大きなものになります。
例えば、支店から本社へのデータ送付ファイルの圧縮と暗号化、
本社での受信と解凍とパスワードの入力などです。
1,000人のスタッフが1回に1分かけて、毎日5回行っていたとすると、
単純計算で1×5×1000×365日で一年間に182万5千分、およそ3万時間です。
時給@1,000円換算で3,000万円にもなります。
まとめ
RPAの導入や活用は案外、身近なところにあります。
社外にアウトソーシングしていた業務の見直しを始めるだけで、業務委託費用の圧縮に絶大な効果があります。
また属人的な業務があれば、作業分析・業務分析をしマニュアルにできればロボット化が可能です。
RPAの導入は業務範囲の整理と対象業務の明確化からはじまります。