AI関連

真のMaaSを支えるAI技術

ここ数年であらゆる業種や業態に導入が始まっているAI技術。
GAFAと呼ばれる米巨大IT企業が先導してきた感がありますが、日本の代表的な企業の一つであるトヨタも急速にAIへ舵を切っているところです。

自動車産業は生活の基本である「人の移動」の一角を担ってきましたが、産業構造的にすそ野が広いこの自動車産業におけるAIシフトの動きは今後大きなインパクトを与えていくことでしょう。

人が素早く安全に、そして簡易に移動するため、どの時代でも様々な技術が開発されてきました。
今回はなにかと話題のMaaSについて現状と今後を考えてみたいと思います。

そもそもMaaSって何?

MaaSという言葉が聞き慣れない方もいらっしゃると思いますので、このあたりから入っていくこととしましょう。

MaaSとは Mobility as a Service の略で、直訳すると「サービスとしての移動」となります。
「サービスとしての移動」と言われてもピンとこないですよね。

シンプルに言いますと、複数の公共交通(鉄道やバス)やそれ以外の移動サービス(タクシーやレンタサイクルなど)を最適に組み合わせて検索から予約、決済まで一括で行うことができるサービスのことを指します。

現状でも複数の交通機関を使ったルート検索サイトやアプリはありますが、決済はそれぞれの交通機関ごとに行わなければなりません。決済まで一括でできるとしたらとても利便性は高くなりますよね。
いわゆる「人が素早く、簡易に移動するため」のサービスと言い換えられそうです。

さらにMaaSでは、観光案内をはじめ、ホテルの予約や支払い、または病院や行政サービスなどの予約や支払いまでも一括して行うことを想定しています。

どんどん便利になる人の移動。日本におけるMaaSの実情や、運用されているサービスはどのようなものがあるのでしょうか。

日本のIzukoとフィンランドのWhim(ウィム)

先ず、日本におけるMaaSへの取り組みの一例としてIzukoを見ていきましょう。

Izukoとは東急やJR東日本などが伊豆半島で行った観光型MaaSの実証実験のサービス名になります。Izukoでは、鉄道やバス、AIオンデマンドバス、レンタカーという多くの移動手段をスマートフォンで検索、予約、決済できるサービスを提供しました。

2019年4月1日から6月30日までの第1段階と、2019年12月1日から2020年3月10日までの第2段階の2つに分けて実施された結果、第2段階では第1段階の約5倍ものデジタルチケットが販売されるなど好結果であったようです。

ここで一つ注目したいのは「AIオンデマンドバス」の存在です。

AIオンデマンドバスとは、乗りたい場所と時間、行きたい場所を予約すれば、いつでもどこへでも行けるバスのことです。AIオンデマンドバスは定まった路線を持たず、配車予約と車両位置からAIがリアルタイムに最適な運行ルートを決定するため、効率的な移動手段として注目されています。

日本におけるMaaSへの取り組みは各所で実証実験が始まった段階で、世界的には遅れているというのが現状なのです。

では、世界的にみて先進的な取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。
その一例として、フィンランドの首都ヘルシンキで2017年から実用化されている「Whim(ウィム)」というアプリを使ったMaaSサービスがありますので少し紹介しましょう。

利用者は3つの料金プランから自分に適した利用プランを選択します。そして、Whimが提案するいくつかの交通経路の中から良いと思うものを選んで、予約から決済まで一括して利用することができます。

Whimが提案する交通手段には電車やバスなどの交通機関のほか、タクシーや個人の徒歩、自転車などもあり、スマートフォン等のアプリ画面を提示するだけで、指定した交通手段を利用することができるというものになります。

「今日は天気が良いから徒歩や自転車での移動を多くしよう」ということもできるのです。素敵ですね。
素敵と言えば、Whimは環境問題の解決にも役立っているのです。

Whimサービス開始前の交通利用状況は、公共交通が48%、自家用車が40%、自転車が9%だったのに対し、サービス開始後は公共交通が74%と大きく伸びたほか、それまであまりなかったタクシーの利用が5%に増加しました。
その一方で、自家用車は20%に減少したのです。このようにMaaSは環境にも優しいのです。

MaaSとAIの関係

AIオンデマンドバスでもそうですが、MaaSサービスとAIの存在は切っても切れないものとなっています。

MaaSを展開するためには、鉄道やバスなどの公共交通サービスとレンタカーやレンタサイクルなどの民間サービスの連携が必要になります。そして、各移動手段の運行状況をリアルタイムに把握しなければならないため、高度な通信技術やビッグデータを解析するAIというさまざまな技術が必要になっていきます。

MaaSの導入が進むと、上記のように交通渋滞の緩和や環境問題などの解消が期待できるほか、地方の過疎化や少子高齢化によって生じる交通手段の維持課題への対策にもなることでしょう。

また、トヨタとソフトバンクが提携して設立されたMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)では、AIオンデマンドバスのようなオンデマンドモビリティサービスの提供や、これにより得られたデータの解析を通して自動運転車とMaaSを融合させたサービスの実現を事業としています。まさに「人が素早く安全に、そして簡易に移動するため」の構想なのですね。今後の展開に期待したいと思います。

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