AI関連

ジェンダーフリーな社会がもたらすAI普及への影響

 

突然ですが、皆さんはお出かけをする際の服装を考えるとき、まず始めに何をしますか?
どこへ行くのか、どんな服を着たいか、流行のアイテムをどう合わせるか等、いろんなことを考えてコーディネートをすると思います。
ですが私は、まず始めにその日の天気と気温を調べます。雨が降るのにサンダルを履いてしまったり、昼過ぎから冷える予報なのに薄着で外出してしまったり等の失敗はなるべく避けたいからです。
そんな、時欠かさず利用するのが、Siriです。「Hey Siri、今日の天気は?」とiPhoneに聞くと、すぐに天気と気温を教えてくれます。操作が簡単で手間もかからない、今や大多数の人が利用している身近なAI、「Siri」の楽さを知ってしまうと、わざわざテレビをつけて、天気予報を見るのも、検索フォームを開き、「今日 関東 天気」で検索するのも面倒になってしまいます。
当たり前に使用していると考えないことかもしれませんが、みなさんは、「Siriはなぜ女声なのだろう?」と考えたことはありますでしょうか?

AIには女声が適している?

考えてみると、Siri、AlexaなどのアシスタントAIもそうですが、電話の留守電サービスの音声、カーナビもそうであるようにアナウンスの声は女性の方が多いような気がします。
このように、性別を持たないはずのロボットやAIに「女声」を起用することで、セクシャルハラスメントを助長しているのではないかとの指摘や、「男女差別」であるとの批判が耐えないのが現状です。
さらに2018年の世界経済フォーラムで発表された「ジェンダー・ギャップ指数2018」 (男女共同参画局「共同参画」2019年1月号」,2019) によると、日本は149か国中110位と、かなり低い順位に位置しており、男女の格差が他の国と比べても大きいと言うことが分かります。
さらに、ご高齢の方は聴覚が衰えていく際、高い音から聞こえなくなっていくという研究結果もあります。(小森智康 今井 篤 清山信正 田高礼子 都木徹,「高齢者に聞きやすい 番組背景音レベル調整装置」,NHK放送技術研究所,2017, https://www.nhk.or.jp/strl/publica/rd/rd161/pdf/P31-41.pdf)
ここまで見ると、シンプルに女声だと声が高いので聞きとりづらいと感じる方も多そうですし、セクハラ助長のためにAIの声を女の子にしていると思われるのは悲しいので、AIに女声を使うのはやめた方がいいんじゃないかなと思ってきました。

それでもAIに女性を起用する理由って何だろう?

急ですが、皆さんは思っていることや、心の内に隠していたはずの気持ちを言葉に表していないのに言い当てられてしまったことってありますか?
結構な割合でそういう経験のある方がいるのではないかなと思います。感情の表出には様々な説がありますが、表現方法は必ずしも「言語化」だけではないですよね。
顔の表情、しぐさ、声色、言葉のイントネーション、話す速度などの非言語的コミュニケーションは、普段あまり意識していなくても勝手に感情によって変化してしまうことであり、人に自分の気持ちを伝える際、相手の感情を動かす際に必須の要素なのです。
つまり、AIの声が女声であるか、男声であるかによって、聞き手に与える印象や、感情の形成が変わって来るのです。
一般的に、男性の声は、「信頼感や説得力を与えやすい」という特徴があります。また、女性の声には、「すっきりしていて聞きやすい」という特徴があるそうです。その為、感情を伝えることを目的としていない車のカーナビの音声や、留守番電話サービスの声等は物事を正確に伝えるという意図があるため女性の声が多いのかもしれません。
米スタンフォード大学のクリフォード・ナス教授は、「誰もが気にいる男性の声よりも、誰もが気にいる女性の声の方がはるかに見つけやすい」としており、女性の声の方がさまざまなことに広く利用できるということを示唆しています。(Why computer voices are mostly female – CNN)
以上のことから、女性の声と、男性の声、それぞれ適している使われ方があることがわかりました。
女声、男声、それぞれに特徴があり、与える印象が違うので、使用目的によってどちらを使うのか選んでいる可能性について述べました。でも、それってセクハラなのでしょうか…?
確かに、「どんなにひどいことや、倫理的に許されないことを言っても「はい、はい」と言ってくれる女の子のAIを身の回りに置きたい。」と考えている人に女性キャラクターのAIを提供したらセクハラを助長していると言われてしまうのかもしれませんし、提供したくないですよね。

日本は昔から「男尊女卑」という言葉があるように、女性が積極的に意見を述べたりしゃしゃり出たりすることをはしたないとしてきた歴史があり、現在も性のステレオタイプとして存在しています。
AIには性別がありません。性別の有無を設定できるという点は、AIのメリットであると思います。
なぜなら、上記にて述べてきたように、それぞれの性によって関わり方や、親しみやすさが異なり、どの性にも良いところがあると思うからです。
つまり、そのAIはどこで、どんなニーズに応えたいか?どのように活躍したいか?に適応した性を選ぶことができるため、汎用性が高く、様々なビジネスシーンでも利用が可能なのです。

まとめ

男女は、遺伝子が違います。体のつくりも脳のつくりも違います。(大木 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/49/1/49_21/_pdf/-char/ja)ですが、権利は平等です。
「女性なんだから、こうしてくれないのは変だ」という考え方は、人間に限らずAIに対してもセクシャルハラスメントになります。
現在の社会では性別を区別することでセクシャルハラスメントを助長してしまう危険性があるという指摘は否めません。では、それを解消するには、性のステレオタイプに囚われた思考を改め、それぞれの得意分野をのびのび発揮できるジェンダーフリーな社会になることが必要だと考えられます。
性別によるあらゆる社会的な差別がない、ジェンダーフリー社会になっていく為には、違った性がなければ叶わないと思います。
単純に、男女の境界をなくす、ジェンダーレスな社会を目指すのは、根本的な解決にはなっておらず、男の人、女の人、どちらでもない人、全ての人が、それぞれの性別を理由に苦しまないという状況がジェンダーフリー社会だと思うからです。
ジェンダーフリーな社会になることで、AIはもっと多くの場所で生き生きと活躍できるようになのではないでしょうか。

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