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小売業はAIをどう活用できるか

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わたしたちの生活に欠かせず、日々お世話になっているのは、コンビニエンス・ストアをはじめとした「小売業」です。
コンビニでは、利用者の多様なニーズに応えるため、平均で3,000〜3,500点の商品を扱っていると言われます。スーパーでは、さらに品数が増えて大型店舗では10倍以上の45,000点に登ると言われています。
モノとインターネットが結びついたIoT(Internet of Things)の進んだ現在では、工場で生産される日用雑貨品や食料品だけでなく、野菜などの生鮮食品もインターネットで生産〜流通もトレース出来るようになってきました。
このようなビッグデータを活用するに、AI(人工知能)が不可欠になって来ました。

・小売業でのAIの活用事例
はじめに、小売業のIoTと結びついたAI(人工知能)の活用事例をみて、どのように役立っているかを見てみましょう。
【ファッション業界】
流行の最先端を追うファッション業界でのお客様への対応は大変です。大阪で流行ったものが必ずしも東京で流行るとも限りません。
また、お店の商圏(エリア)はそれぞれのお店によっても違います、ECサイトでは全く路面店とは変わってきます。
ファッション業界の扱う商品は、色やサイズそしてオートクチュールに代表されるような一点物まで、アイテム数の豊富さでは他の業界とは比べ物になりません。在庫の管理から売上管理、顧客動向の把握までベテランの店員任せでビッグデータの活用も大変難しい業界です。
その中で一時Zozoタウンでも注目を浴びた「デジタル採寸技術」です。これは、センサーを内蔵したボディスーツを着用し各部のサイズのデータを自動計測する技術です。

(出典:「【採寸わずか5分】ZOZOSUITを試してみた」より一部抜粋、Motologueより)
スマートフォンのアプリと連動させているので、同時に適合サイズとの照会も自動で行えます。このデジタル採寸技術とIoTの結びつきはAI(人工知能)によって事業の収益向上に大きな変化をもたらします。
店頭在庫の有無からECサイトでの在庫までクラウド上で連動でき、チャンスロスの低減とサイズ違いによる返品リスクを減らす効果があります。
【飲食店】
食は嗜好も変化も激しく、店舗の営業利益を上げるのに様々な工夫が行われてきました。単純に価格を上げればお客様は離れて行きます。
原価率を下げるのにも限界があります。
小売業の売上はシンプルな数式によって組み立てられています。
それは「単価×客数」です。
そこでAI(人工知能)とカメラから画像技術を取り込んで客数アップを上げるテクノロジーが注目されています。

(出典:「AIによる画像解析で空席を検知」OPTiM Cloud IoT OSより)
飲食店の座席の回転率を上げるために各テーブルの空き状況とお客様の滞在時間をAI(人工知能)の画像解析によって「見える化」するものです。
飲食店にとって空席が多くなることは売上の減少に加え、食材のロスだけでなく従業員の非効率的なシフトなどを招く深刻な問題です。
AI(人工知能)の活用はお客様にとっても、待ち時間なしで飲食が楽しめるなど、顧客満足の向上に結びつきます。

・小売業で怖いのはニーズギャップではなく変化に対応できないこと
ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809年2月12日 – 1882年4月19日)が進化論で証明したのは、環境変化に対する対応の力でした。それは「弱肉強食」でも「強存強栄」でもなく、外界やコンペティターへの柔軟な生き残り戦略の展開でした。
小売業では、非常に多くの「個客」に対応しなければなりません。昨日、売れた物が今日、売れるとは限りません。今日、売れている物が明日、売れるとは言えないのです。
大型スーパーでは、1日に6,000人を超える来店客数があります。
わかりやすい事例では気温の変化があります。
今日が暑ければ「ビール」は売れますが、「おでん」は売れません。けれども、明日、急激に気温が下がれば「ビール」は売れませんが「おでん」は売れます。
これが4,000アイテム〜45,000アイテムとなると人の力で予測や発注量の対応などできません。
気温の変化のように比較的わかりやすい物ならまだしも、表層的ではない深層的変化から出現する需要動向は目の前のニーズだけに目を奪われていては対応できません。
例えば、自動車保険は個人(法人)加入でビジネスモデルが成り立っています。これがAI(人工知能)による完全自動運転に変わると、個人保険ではなく、製造物の責任保険(PL保険)に移行します。現在の保険の個人ニーズに対応しても売上向上は見込めないわけです。
ニーズではなく構造変化に対応できるかどうかが問われてきます。AI(人工知能)による情報収集と分析は現在の事業モデルの将来性の予測も可能にします。
これからは社会システムの変化に伴う法制度の変更から招かれる、ユーザニーズの変化に対応できることが求められます。

・過去のデータではなく「未来のデータ」を活用するAI
小売業がAI(人工知能)を活用する価値は、過去でも現在でもなく「未来」の変化に対応するための力です。
そのためには資本主義の「細胞」とも言える商品の動きが掴めなければなりません。
人体の新陳代謝と同じように朽ちる商品、新しく市場に参入する商品の動向(ビッグデータ)の分析が欠かせません。
IoTにより迅速に多くの正確なデータ収集が出来るようになりました。これを人による「経験・感・度胸」で分析していたのでは、変化に追随できなくなってきました。

・まとめ
コンビニの店長さんやお弁当屋さんの店主が一番気にするのは「チャンスロス」(売れる時に商品がなくなり、本来あるべき利益が失われること)です。
そのため、どうしても過剰な仕入れや製造になり廃棄ロスが増えてしまいます。
日本の食品廃棄物は環境省の発表で発表では年間2,759万tにもおよびます。まだ食べられる食品ロスだけでも約646万tあります。これは国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助量は約320万tの倍近くあります。
日本でのAI(人工知能)の活用が進みこの廃棄量が半分にでも出来れば世界の食糧難に大きな貢献が出来ます。そして、それだけではなく、多くの食品関連企業や小売店には莫大な利益をもたらすことでしょう。
AI(人工知能)の小売業への活用は世界中の人々の空腹を満たすだけでなく、企業にも大きな恩恵を与えます。

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