森の国日本は緑に恵まれ、その森林から数多くの恵みを享受している国でもあります。
日本の林業は、働き手の高齢化や林業経営の難題にぶつかっており、
現状のままでは明るい未来が見えてこない状況があります。
そこで注目されるのが、AIやIoTを活用した「スマート林業」です。
この林業へのAIの活用と、豊富な森林資源の有効活用で
豊かな林業を目指す取り組みが各地で、官民をあげて進められています。
この「スマート林業」の中でのAIの役割に焦点をあて、
その課題と未来について整理をしてみたいと思います。
日本の林業の現状
日本の国土面積3,780万ヘクタールのうち、森林は2,508万ヘクタールあります。
これは実に、国土の約2/3が森林と言うことです。
日本の森林のうち約40%に相当する1,029万ヘクタールは人工林で、
戦後の1945年以降から1970年代の高度経済成長期に植林されたものが多くを占めています。
所有形態の内訳は、国有林(31%)公有林(12%)私有林(58%)で半分以上が民間のものです。
また人工林の私有林の割合は、総人工林面積の65%でその大半を占めています。
森林の多面的機能は、さまざまな働きを通じて国民生活向上と国民経済発展に大きな役割を果たしています。
木の根が土砂や岩石などを固定することで土砂崩れを防ぎ、
森林の下草、低木、落ち葉などで覆われることにより、
雨水などによる土壌の侵食や流出を防ぐ役割も担っています。
農業用水も森林のおかげで豊富な清流を手に入れることができ、
漁業も山から豊富な栄養を持った水のおかげで海が豊かになっています。
樹木は、大気中の二酸化炭素を吸収し、地球温暖化防止にも貢献しています。
2015年度における家庭からの年間排出量は杉の木、
約560本分の1年間の吸収量に相当すると試算されています。
一方この大切な森林保全し木材資源を有効活用することを担う、
林業の現状には厳しいものがあります。林業に携わる林業従事者は国勢調査によると、
長期的に減少傾向で推移しており、2015年には45,000人となっています。
また、65歳以上の高齢化率は2015年には25%で、全産業平均の13%に比べ高い水準にあります。
(出典:「平成29年度 森林・林業白書」林野庁)
スマート林業とAI
ICTを活用したスマート林業のコアテクノロジーはAIです。
その中でも注目されている分野はドローンによる
GIS(地理情報システム:geographic information system)と連動した
3次元的スキャンによる森林3次元計測システムや資源情報などの把握技術です。
以前は相当数の日数を費やして森林の現地調査などが、
ドローンによる空撮によって樹木の種類、育成状況、伐採状況などの情報を短時間で収集できます。
また、すぐにデータ化も可能なのでデータ再入力の手間暇を減らしコスト削減に役立てることができます。
また、木の伐採や搬出の重労働と危険作業の軽減に寄与する、
ロボット技術は林業用アシストスーツの開発が注目されています。
これは産官学連携のプロジェクトとしても脚光を浴びています。
「アトウン」と言うパナソニック発ベンチャー企業は、
奈良先端科学技術大学院大、森林研究・整備機構森林総合研究所、
住友林業と共同で同アシストスーツを開発しています。
共同開発中の林業用アシストスーツにAIを搭載し、足の角度、力の出し方、傾斜した地面の様子など
各種センサーから得られた情報をもとに体の動きを補助する仕組みです。
2020年をめどに林業従事者の筋力負荷を現在は17%程度のものを
20%以上軽減できる新型試作機の完成を目指しています。
AIで森が宝の山に
第一次産業における若者離れを考えると将来に向けた厳しい側面があすます。
けれども、林業の若年者率(35歳未満の割合)をみると、
全産業平均が13%で減少傾向にあるのに対し、1990年以降増加傾向で推移し、2015年には17%となっています。
一方で高齢化の問題はあるものの若者が森に戻ってきていることは、希望が見えます。
この若年者率をさらに高め、継続して林業が営めるように収入の増加と収益率の改善のために、
AIを搭載したロボットの活躍が必要です。
3K(きつい、きけん、きたない)の職場の林業の現場をスマートにする切り札がAIです。
林業の社会的必要性は、森林の多面的機能に代表されるように、
さまざまなビジネスが展開できる可能性を示しています。
(出典:「林業労働力の動向」林野庁)
第一次産業における若者離れを考えると将来に向けた厳しい側面があすます。
けれども、林業の若年者率(35歳未満の割合)をみると、
全産業平均が13%で減少傾向にあるのに対し、1990年以降増加傾向で推移し、2015年には17%となっています。
一方で高齢化の問題はあるものの若者が森に戻ってきていることは、希望が見えます。
この若年者率をさらに高め、継続して林業が営めるように収入の増加と収益率の改善のために、
AIを搭載したロボットの活躍が必要です。
3K(きつい、きけん、きたない)の職場の林業の現場をスマートにする切り札がAIです。
林業の社会的必要性は、森林の多面的機能に代表されるように、
さまざまなビジネスが展開できる可能性を示しています。
まとめ
AIとロボットとIoTで林業を 「儲かるビジネス」 にすれば、
日本の林業の国際的競争力も強化できます。林業から派生する木工製品の生産は、
林業という第1次産業を第2次産業、第3次産業へと拡大することで可能性を広げることです。
日本人の伝統工芸の「技」と高い美的感覚を活かしたモノづくりは
諸外国からも注目されています。
2020年のオリンピックに期待できる巨大なインバウンドマーケットへの対応も、
AIにより効率化し高い収益性の期待できるビジネスへ充分転換が可能です。
そのために、第1次産業から第3次産業までを
AIによって一貫管理するビジネスモデルの構築が望まれます。