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【人工知能(AI)×エネルギー】エネルギー社会でのAIの役割

エネルギー問題は私たちの家庭にとっても、社会にとっても身近なテーマであり、かつ重要な問題です。

はじめに、一次エネルギー供給量の推移と需給構造の変化を少しみてみましょう。

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「一次エネルギー供給量の推移と需給構造の変化」
(出典:日本エネルギー経済研究所資料より資源エネルギー庁作成)

一次エネルギーとは、自然界から得られたエネルギーのことで、石油・石炭・天然ガス・ウランのような
採掘資源から太陽光・潮力・風力・水力といった再生可能エネルギーも含まれます。
これらの自然エネルギーを利用して作った電気などは、二次エネルギーと呼ばれています。

この二次エネルギーの伸長は経済の情報化・コンピュータ化の進展を反映した、
オフィスや学校における情報機器の急速な普及によるものです。
電力化率(一次エネルギー需要に占める発電に要したエネルギーの割合)は、1970年度には12.7%でしたが、
2009年度では25.0%に達しました。(資源エネルギー庁)

このようなエネルギーの需要構造の変化の中で、生活と経済活動の日常のサービス低下を招かずに、
AIがどのような役割を果たすかを整理しながら考えてみたいと思います。

エネルギーと私たちの生活

私たちは、既に電気のない生活は考えられないでしょう。
そして、その電気を使った家電製品やコンピュータのない生活も想像できなくなってきました。

わずか100年ほどの間に、人類のエネルギーを利用した進歩は驚くべきものになりました。

「衣食住」全ての生活にエネルギーが必要な現代、この中でエネルギーを有効に活用するのにAIが役立ちます。
「衣食住」のそれぞれの場面でのAIの活用と活躍をみてみましょう。

【衣】

まず「衣」との関係ですがAIが季節や気温や湿度によって、心地よいファッション提案を今はしてくれます。
これだけで快適性と省エネに貢献できます。

本領発揮はオーダーメイド、「カスタマイズ」ファッションです。
日本最大級のファッション通販サイト『ZOZOTOWN』では、
ついにスマホアプリで身体計測をして体型にフィットするスーツの販売を始めました。

アパレル業界の大きな悩みは、在庫過剰です。
どうしても予め各種サイズを予測して服を製作しなければならないのは、
非効率的で流通を含めてエネルギーロスの多い分野です。この分野に大きなメスが入りました。

AIによる自動計測をコンシューマ・マーケットに投入したことは画期的です。

着られなくなった衣服やサイズ違いや店頭で傷んでしまった洋服は破棄される運命にあります。

今までは、リユースやリサイクルばかり注目されていましたが、
リデュース (Reduce) の領域にAIで踏み込めます。

最初から必要とされる衣服が消費者に確実に届けば、廃棄率を低減できます。

【食】

次に「食」の分野です。

フードマイレージとエネルギー問題にAIが活躍します。
フードマイレージは、食料が私たちの食卓まで運ばれる総距離を示す言葉で、「地産地消」の逆の現象の中で出てきます。

当然、自給率が低い街はフードマイレージのポイントが高くなり、エネルギー効率の悪い証になります。

ここで考えなければならないのは、日本全体ではなく、
都道府県市町村別にフードマイレージをみることです。
一見エネルギー効率のよさそうな都市部は、
生産地から遠いためフードマイレージのポイントが上がってしまいます。
東京都の食料自給率は1%ですが、北海道は221%です。(農水省)

航空会社のマイレージポイントは貯めたいですが、こちらのポイントの高いのはいただけません。

消費者がAIを使ってこのポイントが選べるようになれば、事情も随分変わるでしょう。

食品にQRコードやICタグが取りつけられて、
トレーサビリティと共にマイレージ情報も提供されれば、
消費者が自分の食べる物のエネルギー効率を知ることが可能になります。
自分の生活圏でのフードマイレージを算出するのには、
GPSと連動したビッグデータの解析が必要になるのでAIを使う以外に手はないですね。

【住】

住環境を快適にしながらエネルギー効率を上げるのに、一番AIが貢献しているのがこの分野です。

特に昨年あたりから、エアコンへのAI搭載率が増え省エネと快適性を実現しています。

注目されているのは「温度予測」技術で、
最新のエッジコンピューティングのテクノロジーが遂にエアコンにも搭載されました。

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従来のAIの推論システムはコンピュータパワーが必要なため、
クラウド上のサーバやスーパーコンピュータで処理したものを端末(スマートフォンなど)に
フィードバックしてユーザーに提示します。スマートスピーカー(AIスピーカー)などが典型です。

それに対して、エッジコンピューティングでは処理系(サーバやコンピュータ)を
データの近く(エッジ:末端)で処理してしまおうと言うものです。

そのためネットワーク環境がなくても使え、リアルタイムに反応できるので、
室温調整や「これから暑くなりそうなので、温度を下げます」などのことが可能になります。

エネルギーと社会

家庭でのエネルギーとAIの活用・活躍をみてきましたが、電力消費量の最も多いのは産業分野です。
その比率は、

・民生家庭:14.2%
・民生業務:19.6%
・運輸旅客:14.5%
・運輸貨物:8.9%
・産業  :42.8%

となっています。(資源エネルギー庁)

この分野は家庭での省エネと違い、個々人の自覚やモラルではなく、
政府の政策や「経済原理」で達成できる分野です。
ですから、やり方によっては加速度的にエネルギー対策ができる分野です。

政策課題として実現するのには、コンセンサスに時間を取られてしまうので
ゲームセットの時間がわからない野球のようなものです。
その点、経済原理に従えば、時間内(事業決算範囲内)に結果が出るサッカーやラグビーのようにメドが立ちます。

企業にとって一番わかりやすいのが、エネルギー効率を高めればその分が事業収益に直結することです。
電気代が安くなれば、それはイコール利益だと言うことです。

原子力発電から太陽光発電に変えて利益になるのであれば、感情論とは関係なく太陽光発電へ工場は移行します。

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ここで力を発揮するのがAIです。別にAIが発電するわけではなく、
現在の電力変換効率の低い太陽光発電素子の変換効率を上げる「新素材」の開発にAIが役立ちます。
素材開発は異素材同士の組み合わせによる途方もない実験の賜物でした。
それを機械学習とディープラーニングによって、開発期間を劇的に短縮できます。

現在のソーラパネルの発電効率は20%程度ですが、実験段階では46%の素材も開発されています。(NEDO)
発電効率が最も高いと言われるLNG火力発電でも48%(資源エネルギー庁)なので、太陽光発電が超えるは時間の問題ですね。

エネルギー問題を解決するのにAIが有効であることは、充分理解できるのですが

「AIが電気を沢山使う?」

と言う矛盾が出てきます。どうしたら良いのでしょうか?

AIとエネルギー問題

AIのエネルギー源は二次エネルギーの電力です。
AIは相当量のコンピュータパワーを使いますので、自らの問題でもあるわけですね。

理化学研究所に設置されている、スーパーコンピュータ「京」の消費電力をご存知でしょうか。

このスパコンの全能力をフル稼働させた場合、一般家庭の30,000世帯分、
定常運用でも27,000世帯分程度になるそうです。
国勢調査によると、日本の世帯数は2010年で約5,200万世帯です。
世界にはスパコン性能を競う「TOP500」と言うランキンがあります。
全部が「京」と同じ消費電力ではないと思いますが、一斉に稼働させれば
1,500万世帯分の電力消費に匹敵し、日本の世帯電力およそ30%程度を消費してしまう計算になります。

省エネのためにAIがエネルギーを消費してしまうのは悲しいことです。
何か良い方法はないのでしょうか。

エネルギー効率を高める、AIの高性能化(効率化)には二つの方法があります。

一つはAIのプログラムを進化させることです。
しかし、これにはコンピュータパワーを使いますので電力を消費してしまいます。
もう一つの方法は、ハードウェアで高性能化するやり方です。

AIチップと呼ばれるものです。

簡単に言えばAIの中で繰り返し計算されるものや、
処理が連続して行われるものをハードウェアの仕組みに取り込んで、処理を短縮してあげるものです。

例えば、画像処理は複雑な計算を繰り返し行うのですが、
このプロセスを専用チップ(GPU:Graphics Processing Unitなど)にして、処理を高速化します。

このように、特化型AIをチップ化してAIを活用する機器に組み込めば効率化と小型化が図れるので、
AIによってエネルギー効率を高めようとすると全ての機器に応用できます。

エッジコンピューティングもそのテクノロジーによって実現できます。

まとめ

エネルギー社会の現代では、ますますAIによる効率的な
エネルギー利用と新世代エネルギー開発にAIが期待できます。

身近な家庭分野から大規模な産業分野までAIの応用範囲は広く、各分野での活用が可能です。
市民生活の隅々にまでエネルギーを利用しているからこそ、ちょっとした工夫で省エネも達成できます。

3.11東日本大震災の時、市民運動としての省エネ運動は、
良い意味で政府の節電施策(計画停電など)を裏切り、余剰電力まで生み出しました。

産業分野でも新素材の開発が進めば、省エネの速度も加速します。

AIの活用は市民に適切な情報提供を促進し、企業には有益な利益を提供できる、将来を切り拓く技術です。

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